グローバルダイニング「時短命令は違法、特措法は合憲判決」と「緊急事態時の統計」とは【篁五郎】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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グローバルダイニング「時短命令は違法、特措法は合憲判決」と「緊急事態時の統計」とは【篁五郎】

講演で「コロナがあったら、飲んでもいい」などと発言するほどコロナ軽視論者として言論活動を続けている京都大学大学院教授の藤井聡氏。リスク衡量したうえで「コロナワクチンを接種した」とFacebookに投稿するや、その言行不一致をツイッターで指摘され、投稿文からワクチン接種の事実を慌てて削除。一方、木村盛世氏との共著『ゼロコロナという病』は藤井氏の代表作になったのも記憶に新しい。

 

 裁判に証人として出廷した京都大学大学院の藤井聡教授は、Twitterで自身の見解を述べている。

《グローバルダイニング訴訟で東京都の時短命令が違法との判決が出ましたがその根拠となったのが「統計分析」。下記が判決文の抜粋。

つまり、行政は今後、統計分析を行って十分な効果が予期されない限り、時短・自粛要請を控えるべきなのです。統計的効果が確認できなければ「違法」となるのですから》

 ツイートと同時に判決文の一部を抜粋した画像を添付していたのでこちらも掲載しておく。

《統計学に基づく分析によれば、

・時間の短縮によって来客数が減少したことにより抑止し得た新規感染は約0.082人

・これはPCR検査を4日間で2204件増やすことで実現し得る》

 このように「統計分析を行ってから効果が出ないなら特措法による自粛要請はするな」と主張している。確かに藤井教授の言う通り、統計を取って効果が確認できないのならば自粛要請は出さないという意見は正しい。

 しかし、国レベルにおいては既に統計を使った自粛要請は出されていたのを藤井教授は見逃している。

 それは「8割おじさん」でお馴染みの西浦博京都大学教授が、政府に提言する際に用いた感染症疫学モデルが統計を利用していたのだ。西浦教授は、環境衛生学の専門家であり、数理モデルおよび統計モデルを利用した感染症自然史等の推定、流行対策の評価および流行予測の実現などを数理モデルに基づいてシミュレーションする研究を行っている。

 数理モデルは統計学では必須の学問であり、シミュレーションを行うためには欠かせない。西浦教授自身も「感染症がどのように伝播し、感染した人がどの程度の期間で発症し、重症化するのかといったプロセスを数式で記述する」と述べている。

 つまり藤井教授が言うように、既に統計学を用いた提言を政府は採用してコロナ対策を行っていたことになる。もちろんすべてが採用されたわけではない。それは西浦教授も認めている。

 藤井教授は「俺のいう通りだった」と声高に叫ぶ前に西浦教授がまとめた論文を読み直してほしい。その論文の中にご自分がツイートした「統計分析を行って十分な効果が予期されない限り、時短・自粛要請を控えるべき」「統計的効果が確認できなければ『違法』となる」の根拠が示されているのだから。

 そして西浦教授の論文とご自身の論文を第三者に精査してもらい、議論を重ねて答えを導くのが学者としてあるべき姿だ。世間に対して自論の正しさをアピールするのは学者の態度ではないと言わせていただく。

 

文:篁五郎

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篁五郎

たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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